公開日:2024年02月13日更新日:2025年04月17日

里親を知っていますか?~“家族”としてこころでつながる姿と制度~

手当・助成・支援サービス

0~2歳

3~5歳

小学生

中高生

一緒にごはんを食べたり、その日あったことを話したり、時にはケンカをしたり……子どもの成長には、“家庭”で生活することが大きな役割を果たします。でもさまざまな理由によって家庭で育てることができない子どもたちもいます。里親は、そのような子どもたちを温かい家庭へと迎え入れて子どもの成長を支えます。子どもたちは「受け入れられている」という安心感のもと、それぞれの家庭で日常生活を送ることができます。

里親として一緒に暮らすことで感じる“子どもの力”

里親をされている方や、里親と暮らす方にお話を伺いました。

インタビューを受けているOさんの写真

Oさん(里親)

退職するのを機に、里親として小学校2年生の子どもを迎えて7年目。実子の長男はすでに独立、2世帯住宅で長女夫婦、孫と同居している。

子どもと一緒にできる経験は“ごほうび”

私自身2人の子育てのなかで、子どもを通してできるいろんな経験が楽しいと感じていました。子育て経験でお役に立てればと思い、長年勤務していた児童養護施設を退職するのを機に、不安というよりは前向きな気持ちで里親に。
Hちゃんは、うちに来ることをすごく喜んで懐いてくれたし、私たち夫婦だけでなく、娘夫婦、孫ともすぐに仲良くなりました。柔道整復師だった夫の姿を見て5年生の時に柔道を始め、私も練習や昇段試験にできる限り付き添って、Hちゃんの頑張る姿を見てきました。だから中学になって黒帯を取ったり、複数の高校から柔道で推薦があったりしたことも本当にうれしかった。

いいことも悪いこともあるのが家族

生活のなかではいいことだけではなく、家族のなかでケンカをすることもあるし、誰かが病気になることもある。実は2年前に夫を病気で亡くしました。夫の闘病中は、Hちゃんも心配して、私にも気を遣ってくれていたし、家族にはいろんなことがあると感じていたと思います。
今はHちゃんと暮らすことで私自身が頑張れるし、元気をもらっていると感じています。ただ、私も昨年一時期体調を崩し、(Hちゃんが)実親さんの元に戻れない状態で、もし自分に何かあったらということも考えました。幸い、ずっと私の姿を見てきた娘が「もしもの場合は、私が里親になる」と言ってくれて、今、里親になるための研修を受講しています。


女子学生のイラスト

Hさん(Oさんと暮らす中学生)

“支え”があるから「がんばろう」と思える

施設にいる時、家族っていう存在自体がよくわかっていなかった。でも小学2年生でおばちゃんの家に来て、行儀のこととかダメなことは愛情を持って叱ってくれて、支え合っていくのが家族なんだなと感じて。だから私もおばちゃんが疲れている時は手伝いたいし、得意なことをがんばって喜ばせたいと思っています。今の目標は柔道で全国大会に行けるまで強くなること。しんどいこともあるけど「これが終わったらおばちゃんのおいしいごはんが食べられる」と思ったらがんばれます。おばちゃんのドリアとシチューが好きです(笑)。


インタビューを受けているHさんの写真

Hさん(里親)

実子が3歳になったころに、生後1ヵ月の乳児を迎える(2歳で実親の元へ戻る)。その後、自身の第2子出産を経て、計6人の子どもをそれぞれ2日~1ヵ月程度の期間で受け入れる。近々、幼児を長期的に受け入れる予定。

家に来たら「冷蔵庫もバンバン開けていいんだよ」って言います

いろんな年齢の子どもを預かりましたが、たとえ短い間でも「一つの出会い」だと思って。特別にいいことはできないけれども、「いつでも受け止めるよ」っていう気持ちで接しています。よその家に来るという不安や恐れを持った子どももいて、生活する上で葛藤もあるけれど、安心できる場所だと感じたら、私たちのことも素直に受け入れてくれます。
私自身、出産と子育てを経験して、子どもは家族だけでなく、地域や病院など社会のいろんな人に助けられて成長していくと実感しました。同時に自分もそうやって大人になったと気づき、社会に何か恩返しをしたいと思った時に、出会ったのが里親制度でした。

実子とは違う戸惑いや心配もあったけれど

生後1ヵ月の乳児を預かった直後は大変でした。昼夜問わずのお世話で肉体的な疲れだけでなく「手を抜いてはいけない」という気負いなど実子とは違う戸惑いや心配も。でも一緒に生活していくうちに、気づけば戸惑いも心配も、まったくなくなっていたんです。それは私ががんばったというよりは、子どもの「愛される力」によるものだと。子どもは本当に不思議な力を持っていますね。
その子は2歳になって実親さんの元へ帰りましたが、うちにいる間、家族として心がつながっていたことは事実です。その後もご縁があって、その子だけでなく実親さんも含めて交流があるので、今でも成長を楽しみに見守っています。

無理せず、自然体で子どもたちと向き合っていく

いろんな子どもたちと生活するなかで「私が里親でいいのかな」って悩むこともあります。でも私たちだけで抱え込むのではなく、専門機関にも相談しながらその子にとっての最善を考える、それが役割だと考えています。
里親のあり方に「こういうのが一番いい形」っていうのはないと思うんです。個性があっていいと思うし、子どもとの関わり方もそれぞれでいい。自分や家族が無理をしてするものではないと思っています。自然体で向き合えば、子どもたちはどこからも得ることができないような力をくれる。これまでの経験のなかで私自身も成長していると感じています。

里親になるためには。研修受講などが必要ですが、特別な資格は不要です。

里親になることを希望される場合は、一定の要件がありますが、共働きや実子がいても基本的には問題ありません。指定の研修を受講後、申請手続、審査を経て、里親として登録・認定されます。

里親になるための要件

  1. 子どもの養育に理解や熱意があること
  2. 経済的に困窮していないこと
  3. 法定の里親研修を修了していること
  4. 里親希望者または同居人が欠格事由(※)に該当していないこと
    (※)一定の刑罰を受けていないこと、子どもの虐待を行なっていないことなど

里親として子どもを家庭に迎え入れるまでの4ステップ

こども家庭庁「里親リーフレット」内画像
(出典:こども家庭庁「里親リーフレット」)

「里親制度について知りたい」「里親になりたい」などのご相談・お問い合わせはこちらへ

神戸市こども家庭センター 

子どもの養育に必要な費用は支給されます

児童相談所からの委託を受けて、里親が子どもを養育する場合、一定の費用が支給されます。

養育里親の場合(令和5年度単価)

里親手当:月額9万円 + 生活費:乳児/月額約6万円・乳児以外/月額約5万2千円

※その他、養育費や医療費なども支給
※金額は年度によって変更の可能性あり

里親制度について、詳しく知りたい方はこちら

神戸市ホームページ(里親制度) (外部リンク)

里親の種類(養子縁組里親など)についても記載

神戸市里親制度リーフレット(PDF・1.88MB) (外部リンク)

制度の概要のほか、里親になった後のサポートについても記載

公益社団法人家庭養護促進協会 神戸事務所 (外部リンク)

里親制度とは別で、週末などに子どもを一時的に預かる「ボランティア里親」についても記載