2024年04月22日
神戸の里山で子育てしてみたら。2家族のリアルな声を紹介。
神戸市の西区・北区には、のどかな農村地域が広がっています。ここには豊かな自然のなかで子育てがしたいと、他地域から移住してきた人も。お子さんと一緒に移り住み、神戸の里山で暮らす2家族に、実際に暮らしてみて感じたこと、この地で子育てすることの魅力を伺いました。
大阪の中心地から移住。手厚い子育てサポートが心強い。
なつさんご家族(北区道場町)
家族構成/ご夫婦、10歳の息子、7歳の娘の4人家族
――神戸の里山に移住した経緯は?
結婚してから9年間、大阪の中心地で暮らしていて、2人目の子どもを考え始めたときにマイホーム探しをスタートしたんです。ところが、大阪の中心だと予算内では本当に狭いところにしか住めない。それならいっそ田舎暮らしもいいのでは?と、私の実家や主人の勤務先がある大阪市内へも比較的行きやすい、ここ道場町に家を建てることを決めました。
――実際に移住してみて、よかった点は?
まず第一に、大阪では到底叶わなかった広いマイホームで、子どもたちがのびのびと過ごせている点が本当によかったと思います。友だちを呼んで、リビングから和室までを開放してみんなで遊んだり、庭ではプールをしたり家族でバーベキューを楽しんだり。娘は芝生のスペースが特にお気に入りで、幼稚園のころは帰ってくると芝生でゴロゴロ転がって遊んでいる姿が微笑ましかったです。
――地域の子育て環境はいかがですか?
道場町はボランティア活動が活発で、例えば、図書の時間以外でも学校の図書室にボランティアのかたがいて本の貸し出しや学習支援をしてくれたり、「笑っ子食堂」といって100円でお昼ごはんを食べさせてくれて、宿題をしたり遊んだりして過ごせる場所もあります。神戸市が実施している事業の一つ「神戸っ子のびのびひろば」でも、放課後の子どもたちの遊び場として学校の運動場を開放してくれるので、まだ友だちと自転車で公園に行ったりできない低学年にとってはありがたいですね。
大阪では周りを気にかけない人がほとんどでしたが、ここではいい意味でみんながよく見てくれているので、「今日はお嬢ちゃん、図書館にいたよ」など声をかけてくださったりと、安心して子育てができています。
――大阪からこちらに移住して、お子さんたちの反応は?
息子が4歳、娘が1歳のときに移住したので、2人ともすっかりこちらの生活に馴染んでいます。大阪の私の実家へもしょっちゅう行きますが、どんなに遊ぶところがたくさんあっても「道場のほうがいい」と口を揃えます。息子いわく「道場には遊ぶところじゃなくて、遊ぶコトがたくさんある」のだそう。何もない空き地でも、自転車で走り回ったり、野球やドッジボールをしたり、自分たちで考えて遊ぶのが楽しいんでしょうね。
――ここならではの学びも多い?
畑に植えられている野菜の種類や、季節ごとの食べ物なども、私よりも子どもたちのほうがよく知っています。自然の中で物事の道理を知って、人間らしく生きてほしいと願っていたので、そのとおりに育ってくれていることがうれしいです。
学校では小学3年生のときに食育の一環で地域の方々が味噌づくりを教えに来てくれたり、幼稚園の夏祭りでは婦人会の人が盆踊りを教えてくれたり、教育現場でも地域の人とともに、日本の伝統的な暮らしの知恵や楽しみ方を教えてくれているようです。
――神戸の里山で子育てする魅力とは?
大阪や神戸の中心街にも近いから、都会と田舎の両方をいいとこ取りできる点でしょうか。子どもたちには、神戸には山側と海側があり、自分たちは山側に住んでいることを教えていますし、時には南京町やハーバーランドへ連れて行って海側の楽しさも満喫しています。
いつもは道場で朝日や夕日、満点の星空や月の満ち欠けを「きれいだね」といって眺めている子どもたちが、大阪へ行ったときにはイルミネーションを見て「わあ!すごい」と目を輝かせていたり。どちらの良さも知ることで、心が豊かな人間に育ってくれたらいいな、と思います。
神戸の自然と人のあたたかさに包まれて。みんなで一緒に子育て。
ケレケレさんご家族(北区山田町)
家族構成:ご夫婦、4歳の娘の3人家族
――どんな子育てを思い描いて里山に移住したのでしょうか?
私たち夫婦はフィジーで出会ったこともあり、フィジーの人たちのように自然を感じながら、地域の人たちと一緒に子育てをしたいという想いがありました。娘が1歳になるまで住んでいたのは東灘区。そこでも神戸の人のあたたかさは感じていたのですが、やはり田舎に比べると人との繋がりは少ない。もっとたくさんの人と関わりながら子育てがしたいと思い、里山に移住しました。
―― ここではどんな生活を?
たくさんの人と関わりたくて、自宅を開放し「住みびらきのお家ケレケレ」を運営しています。「ケレケレ」とは、フィジーのなんでもシェアする文化のこと。シェアハウス、貸し農園、コワーキングスペース、カフェなどを行なっているほか、英語でパンづくりをしたり、農家さんと触れ合ったり、子ども向けのイベントも多数企画し開催しています。
――そういう環境で子育てしてみて、感じることは?
動物と触れ合ったり、かまどでパンを焼いたり、都会ではなかなかできない体験をたくさんしていますし、いろんな人が集まってくるので、娘の視野や興味の幅がぐんぐん広がっていると感じます。花好きな人がお花の髪飾りをつくってくれたり、ギターを弾く人、歌を歌う人、ダンスをする人、料理が得意な人もいて、私たちだけでは伝えられない多くのことを学ばせていただいています。まさに、みんなで一緒に子育てをしている感覚。はじめは人見知りだった娘も、今では私たち以外の大人にも自分から心を開くようになりました。
――神戸の里山で子育てする魅力とは?
(奥様)私は愛媛で生まれて、田舎しか知らずに育ちました。だから、自分の娘にも田舎でのびのびと過ごしてほしいけど、都会が「テレビの中の世界」になってしまうのはどうかな?という懸念がありました。でも、ここは里山とはいえ、三宮までバスで2駅。ふだんは車を気にせず外で走り回ったりブランコで遊んだり、休みの日には家族でハーバーランドへ行ったりと、田舎と都会の両方を経験させてあげられるのがいいですね。
(ご主人)私は六甲出身ですが、北海道、東北、フィジーといろんな土地での生活を経験してきました。やはり田舎へ行くほど都会のようなせわしなさがなくなるせいでしょうか、人もゆったりしていて気持ちに余裕があるような気がします。星もきれいですし、ご近所のかたから畑で採れた野菜をいただいたり、人との交流がより深くなりました。採れたての野菜はおいしくて、娘も食べられる野菜が増えてきています。
――ここでの子育てを通して、お子さんにどんなふうに育ってほしいですか?
(奥様)私はとにかくのびのびと育ってほしいと願っています。移住する前は家を出るとすぐ道路だったので、子どもの手が離せませんでした。今は一人でも自由に外へ出て、自然と触れ合ったり、他の大人と触れ合ったりしながら過ごせているので、このままおおらかに、のびのびと成長していってくれたらうれしいです。
(ご主人)都会ではいくらでも遊ぶものが与えられているけど、田舎には自分たちで遊びをつくる楽しみがあります。ここでも木でブランコをつくったり、わらですべり台をつくったり、木の実を拾ってきておままごとをしたりして遊んでいます。そうやって自分で考えることで、生きる知恵や判断力を身につけてほしいと願っています。
「神戸里山アンバサダー」のInstagramはこちら (外部リンク)
今回お話を伺った方々は「里山アンバサダー」として、農村地域での日々の暮らしをInstagramで発信しています!