2025年04月14日
親子で一緒にワクワク。好奇心ぐんぐん。街の近くに残る貴重な里山で、自然遊びを満喫!

市街地からすぐ行ける自然豊かな里山が、神戸にはある!
虫捕りに木のぼり、川や池で生きもの観察、おにぎり持ってピクニック。木の実や野草を集めたり、焚き火をしたり、ただぼーっと空を眺めるだけでもきもちいい!
自然の中で、五感をたっぷり使って体験できる遊びや学びは、とても豊かなもの。
公園の遊具や室内遊びもいいけれど、こどもと大人が一緒になってワクワクしたり、新しい発見をしたり、同じ気持ちになって、心とからだをおもいっきり動かせるのが自然遊びの魅力です。
だけど、そんなリアルな自然がいっぱいある場所には、遠い田舎まで、長時間車で移動しなければなかなか行けない……? いいえ、そんなことはないんです!
ここは神戸。山や海、田んぼや農地などの自然環境が、街ととても近い距離で共存する、この都市ならではのいいところがいっぱいあります。じつは、人が集まる市街地に近い地域にも、どこか懐かしい日本の原風景、「ふるさと」ともいうべきのどかな場所が、まだまだ残されているんですよ。

気軽に行くことができて、親子でたくさんの喜びに出会える神戸の自然遊び、もっともっと、楽しみませんか?
市街地からも好アクセス。須磨と垂水にまたがる多井畑西地区
須磨区・多井畑(たいのはた)。ここは、日本最古の厄除けの霊地といわれる多井畑厄除八幡宮、通称「多井畑の厄神さん」があることでよく知られている地域。この神社は、創建当時の奈良時代770年、当時大流行していた疫病を祓うため、かつて摂津と播磨の国境に位置していたこの地で、疫神を祀ったことが由来だと伝えられています。
また、かの有名な源平の戦い「一ノ谷の合戦」の際には、源義経がこの厄神さんで必勝祈願をしたとか、「源氏物語」光源氏のモデルの一人とされる在原行平が、ここでの暮らしを歌に詠んだという説があるとか ……。これら由緒あるエピソードからもわかるように、多井畑はとても歴史の深い場所。厄神さんに隣接した、美しい池や豊かな自然林を有する広々とした奥須磨公園も魅力的なスポットです。
さて、その多井畑の厄神さんから、民家の間を10分ほど歩いたところに、里山の入り口があります。
夏は海水浴で賑わう須磨海岸のある「須磨駅」からバスで15分ほどの場所、三宮の中心からも、車や交通機関を使って約30分という距離。都市近郊でありながら、いきなりこんな景色が!?と、きっと誰もが驚くような、昔ながらの自然や農地が残る里山が、ここに広がっているのです。
生きもの探しに木のぼり、こどもも大人も自然のおもしろさに夢中!
春の足音を感じるようになった3月のはじめ、この多井畑の里山で、山道を散策しながら生きものに触れたり、生物多様性や環境について学べるイベントが行われました。
「多井畑はホタルの里になるのか?」というテーマで、環境カウンセラーであり、神戸の自然保全活動を長年率いてこられた髙畑正さんのガイドを聞きながら、里山を歩く自然観察ツアー。以前は、奥須磨公園の小川でもホタルが観察できたといいます。

この日は虫好きのこどもたちを中心に、親子づれの参加者がいっぱい!多井畑の里山は、山といっても高低差があまりなく、のんびりとした田畑や竹林の間をゆったりと歩くことができるので、小さなお子さんも平気です。
山に入って15分ほど進むと、「交流広場」と呼ばれる広い原っぱが現れます。ここは、多井畑の里山保全活動における憩いの場として活用できるよう、神戸市や企業、学校などのいろんな団体によって少しずつ整備されてきた広場。大きな木陰にビオトープ、かまどや、木に吊り下げられたブランコ、竹でできたすべりだい…… まるで秘密基地にやってきたような気分で、こどもも大人も思わずワクワクせずにはいられません!

今回は、垂水区塩屋を中心に活動している『こども編集部』のこどもたちと参加し、里山遊びを一緒に体験&取材してきました。こども記者たちによるレポートで、里山の魅力を伝えます。
里山は、自然があふれる良い場所だと思いました。なぜなら、野草や草木がいっぱい生えていて、私は実際に野草を集めたり食べたりして、楽しかったからです。(さら・小5)

まず最初に、里山に行って感じたことは、「ずっとここが残っていて欲しい」でした。ホタルだけでも、住むところや食べ物が違うという話を聞き、びっくりしました。それぞれに適した環境が集まってこそ、いろんな生きものが暮らせる場所になるのだそうです。いなくならないうちに、いなくならないように、自分も何かしたいと思いました。(げんた・小6)

神戸市内に『ザ・自然スポット』があるよ!ヤゴなどたくさんの動植物がいて、竹林があって空気が気持ちいい、家族でもひとりでも、お散歩も楽しめる里山。里山が放置されると、光が入らなくなって暗い森となり、芽生えや若木の育ちがされにくくなります。元気な森のままであるよう、森のことを学んで、里山を守りたい。神戸にホタルが帰ってくるように!(まや・中2)
風も通らないくらいの竹林があり、驚きました。竹が増えすぎて木が減り、木を必要とする生きものも減ってしまうことを知りました。プラスチックをなるべく使わず、余っている木や竹を使うことが自然を守ることにつながると思います。個人が環境について知ることが必要だと思いました。(しずく・小6)

まるで200年前かのような風景がとても良いと思ったので、その景色を残しつつ、竹でできた遊具を作ったり、キャンプファイヤーをしたり、自然の中でこどもや大人が楽しめる「居場所」として活動できたらいいなと思いました。ヤゴがいたビオトープのような生きものを育てる場所を作ったり、ここでいろんなアウトドア活動を楽しみたいと思いました。(いさ・中2)

自然豊かな環境、遊びがどんどん生まれてきそうなワクワク感、どこか心がホッとするような情景。それらに触れて、こどもたちの心にも「里山を残したい」「生きものを守りたい」「ここでいろんなことをしてみたい」といった気持ちがおのずと生まれてきたようです。
参加者の方はみんな夢中になって話を聞いたり、キラキラとした目で生きもの探しを楽しんでいました。

ひとと自然がつながり、共生するところ。里山ってなんだろう?

里山とは、人々が暮らす「里」の近くにあり、人が自然に働きかけ、生活のために利用してきた山のことをいいます。農地やため池、燃料となる薪や炭、生活用具のための材料、山菜やキノコなどの食料など、人は里山から多くの恵みを受けてきました。さまざまな環境の中で多様な生きものが暮らすことができ、また、人が利用に合わせて適切に手を加えることでその環境が保たれ、いい循環が生まれていたのです。
しかし、近年、生活スタイルの変化や急速な高齢化によって、だんだん人は里山から離れ、維持管理ができない状況が増えてきました。豊かな生態系は崩れ、景観は荒れてしまい、人々の日常的な暮らしも自然とのつながりを失いかけています。

里山の豊かさをみんなで守るために。まずは自然を楽しむことからはじめよう!
人と自然とのつながりや循環、そしていろんな動植物の棲み家を取り戻すため、今、神戸市では里山保全のためのさまざまな取り組みを行っています。
多井畑の里山でも、放置された竹林が、その強い繁殖力によって他の生態系に影響を及ぼすなどさまざまな問題を引き起こしています。美しい里山を守りたい、未来のこどもたちに残したい、という思いで活動をしている地域の団体とともに、竹林整備や竹利用をはじめとした里山再生プロジェクトが進められています。

また、こども記者の体験レポートにもあったように、まずはたくさんのこどもや大人たちが里山環境に興味を持ち、考え、関わる機会を増やすこともとても大切。
プレーパークや自然体験学習、クッキングやアウトドア体験のワークショップなど、親子で楽しめる里山遊びイベントがたくさん開催されています。
きっと家族の楽しい思い出になったり、こどもたちのかけがえのない経験となるはず!

イベント情報やボランティア募集の詳細は、こちらのページからチェック!
このように、多井畑を含めて神戸市には、まちから近いところに自然がたくさんあります。
家族や友だちと多井畑の里山に気軽にお散歩に出かけたり、お花見やピクニックを楽しんでみませんか?
