2025年02月18日
こどもの数だけ“安心”でサポート。 私たちが神戸で「多子世帯ママ」になった理由。
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家族のあり方が多様化し、「産む」選択も「産まない」選択も尊重される時代。同時に「何人産むか」についても、ライフプランに合わせてしなやかに選択する家族が増えているように感じます。
筆者は3児を育てるオカンで、一人ひとりに向き合う暇がないことに落ち込む日々ですが、第2子が生まれるまでの「一人っ子」時代の6年間は、たっぷり長子とふれ合うことができた反面「ママ見て!」に24時間付き合うことに疲れ、(きょうだいと遊んでいてくれたら楽だろうな…)と、何度もため息をついた記憶があります。
一人っ子世帯にも多子世帯にも、それぞれの苦労があり、幸せがある。その上で「思いきって2人以上」と決断した家族にとって、子育てしやすい街・神戸であってほしい! 生粋の神戸っ子であるオカンが、多子の子育てに奮闘中のお母さんたちに、神戸で子育てする魅力やピンチを乗り切るコツを聞きました。
わが家はこうして乗り切った! 多子世帯ママ “ぶっちゃけ” 座談会。
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垂水区のこども食堂『しおやもぐもぐ食堂』に、パワフルなお母さんたちが集っているとの噂を聞いてさっそく、座談会を開いていただくことに。ベビーを抱え、上の子の相手をしながらお茶を飲みつつ意見を交換…世にもいそがしい座談会となりました。参加の4名は、すべて垂水区在住の「多子世帯ママ」さんです。
Aさん:1歳・5歳・8歳の3児の母
Bさん:7カ月・8歳・11歳の3児の母
Cさん:1歳・2歳の2児の母
Dさん:1歳・3歳・4歳・5歳の4児の母
まずは出産に踏み切った心境について。2人目、3人目、4人目をと考えたとき、不安はありませんでしたか?
Dさん
勢いで産みました(笑)。上の3人は年子なんだけど、もう続きで!という感じ。両親や(自身の)祖母などみんなが手伝ってくれるので、大変だけどなんとかなってます。
Bさん
私は上の子たちと歳が開いて、まさかというタイミングで3人目が。高齢出産だし「この子が二十歳になるとき、自分たちは?」と考えたら、夫も「うーん…」と。でもフルタイムの共働きだったので、今のうちにがんばって稼ごう!と話し合って、産むことに決めました。
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――周りでも、「お金の心配」「マンパワーの心配」を挙げる人が多くて。高齢出産で、産後の母子の健康面が不安だったという人も。出産年齢が昔より幅広くなっている分、心配ごとも多岐にわたる気がします。
多子を育てる中で、これがあって助かった!という制度など、何かありましたか?
Cさん
0〜2歳児の保育料が第2子半額、第3子無料になったのはありがたいですね。1人目のときに保育料高いなー!と思ったので。それが倍になると「働く意味あるのかな…」と思ってしまうし、半額でも免除になると助かります。
Aさん
私は2カ月前から、一時保育を利用して少しずつ仕事をし始めたところで。保育園に入れるほどがっつり働くつもりはないので便利な制度ではあるんだけど、こちらが利用したい日と、園の都合とがなかなか合わない時があるので、その調整がけっこう難しい…というのが実感。一時保育の利用料も、第2子半額、第3子無料なのはありがたいです(※1)。
それから、産前産後の大変だったときに新2号認定の申請をして、1号保育の上の子の預かり保育料を払い戻してもらっていました(※2)。
フルタイムで働いている人以外、新2号認定って関係ないと思っている方が多くて、あまり知られてないのかな? これも助かりましたよ。
(※1・※2)幼稚園・認定こども園や新制度に移行していない幼稚園での3〜5歳児クラスの預かり保育、認可外保育施設・一時保育・病児保育事業・ファミリー・サポート・センターの利用にあたっては、保護者のいずれもが保育を必要とする事由を満たす場合、事前に「施設等利用給付認定」新2・3号の申請をし、認定を受けることで一定額まで無償化の対象となり、施設等利用給付の払い戻し(償還払い)を受けることができます。
なお、預かり保育については、3歳になった日から最初の3月31日までは、住民税非課税世帯のみが無償化の対象、一時保育の0~2歳児クラスについては、住民税非課税世帯のみが無償化の対象となります。
保育認定を受けた子どもに係る利用者負担額(保育料) (外部リンク)
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――乳幼児時代もですけど、年齢が上がると、塾や習い事、学費などでますます出費がかさみますよね…。私も、一番上の子が中学生になった頃から急に厳しくなりました。
Bさん
進学先を選ぶとき、お金を理由に諦めさせたくないから、うちは3人とも私立でも何とかなるように貯めよう!とがんばってます。姉の子が大学受験のとき、受験料だけでも1校3万円、さらに仮押さえ、入学金と出費が続いて大変だった!と聞いたので、それは貯めとかな!って。
全員
えーっ!そんなにかかるのー! …みんな県立大に行ってもらわな(笑)。
―これは多子世帯だけではないですが、咋年9月から、公立でも私立でも、市内の高校に通う高校生の通学定期券代が全額補助されるようになりました(市外の高校は、年額144000円を超える額の半額を補助)。電車もバスも対象になります。これは助かりますよね。
Aさん
それは大きいですね! このあたり(塩屋界隈)はどこへ行くにも電車かバスに乗ることになるし、通学先によっては併用になりますよね。電動自転車の購入費用も補助してくれたら、もっとうれしい(笑)。
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子どもが多いと、日々のやりくりも大変ですよね。多子世帯ならではの節約術!みたいなものってあったりします?
Dさん
外食は、乳幼児無料とか2人目以降無料とか、キッズメニューが安いところをよく利用してます! あとは、フードサポートをされているNPO法人さんで子ども服をいただいたり。
Cさん
うちはFPさんと、ライフプランを考えて定期的に保険の見直しなどをしています。見直しすることで安くなったり、内容が良くなったりするので。
Bさん
週単位で予算を決めて、予算以内になるようにしているかな。買い物に出ると子どもたちにねだられて余計なものを買ってしまうので、コープの宅配などを利用してます。
Aさん
私も買い物に行く時間がもったいないので、週に一度まとめ買いします! 朝ごはんを準備しながら、晩ごはんを仕込むのが日課。夕方にゆっくり子どもたちの外遊びにも付き合ってあげられるし。節約ではなく時短の工夫ですが、週末のお昼ごはんや、時間がない日のメニューはこれ!とスピードメニューをいくつか決めて、考えなくても作れるようにしています。
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――皆さん頼もしい…! 私の周りでは“自分がしんどいとき、おかずが出来合いのものばかりになるのが辛い”という声を聞くんですね。
ご自身がどうしてもがんばれないときは、どうやって乗り切ってますか?
Bさん
つい先日、子ども3人がインフルエンザにかかって、奇跡的に私は無事だったのですが、子どもがグズグズで何もできない!という時もありますよね〜。そういうときは諦めてUber Eatsで乗り切ることもあります。
Dさん
祖母に幼稚園のお迎えや、晩ごはんの準備をお願いしたり。自分が体調崩すことは少ないですけど、両親や周りの人に子どもを連れ出してもらって、うまく気晴らしするようにしてます!
Aさん
この『しおやもぐもぐ食堂』では手作りのお惣菜を格安で買えるので、友達に配達をお願いしたり、逆に届けたりして助け合ってます。手作りのものを頂けるありがたさと、気持ちが元気になるありがたさと。地域の縦横のつながりがあってこそ、子育てできている気がします。
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――地域でのつながり…物理的に手が足りない、多子のお父さん・お母さんにとって、すごく大事ですね。
特に“神戸で子育てしていて、よかったな”と思うのはどんなことですか?
Cさん
こどもっとひろば(児童館)が多いのがありがたいです! うちから徒歩で通える範囲に、なんと4箇所あるんですよ。同年齢のお友達と遊べる「なかよしひろば」もあるし、読み聞かせがあったり、クリスマス会があったり。近くに頼れる親がいなくても、施設の先生に子どものことを話したり、先生が子どもとちょっと遊んでくれたりすることで、ホッとできますよね。あと、初めて行ったとき、母子手帳を見せたら「はじめておでかけギフト」がもらえて。
全員
あのステンレスボトル便利やったー!外でミルク作るのに、お水入れて持って行ったらちょうどいいよね。ちっちゃいお弁当箱もずっと使ってる!
Aさん
インフルエンザの予防接種も、多子世帯への助成があってありがたいよね。今年は特に流行がすごかったし…12歳未満は2回接種だから、1人4000円分補助が出たかな。
全員
えー!そんなの知らなかった!どこに書いてあったの?
Aさん
病院にも貼ってあったし、神戸市の広報誌にも載ってたはず! 大事なこといろいろ載ってるから、最後のお知らせのところまでじっくり見てー!
全員
これからちゃんと見ます(笑)。
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頼り・頼られ、みんなで見守れば 子どももパパママも笑顔でいられる
お母さんたちの話の中で、よく出てきたのが「つながり」というキーワード。今回登場したのは、こどもっとひろば(児童館)で出会ったというお友達2組でしたが、ほかにも助産院の子育てサークル、こども食堂などで出会う子育て仲間は、困ったときにピンチから救ってくれるセーフティネットといえるかもしれません。
「子だくさんだと言うと、みんなが“お下がりいる?”と声をかけてくれる」
「子どもを預け合うことで、子ども同士も“一緒に育つ”感じ」
子どもの多い“大変さ”をおもしろがり、周りに伝えることで協力者が増え、たくさんの人の見守りの中で、子どもものびのび育っていく。そんな素敵な循環の一端が見えました。
「友達には頼りにくい…」という方は、地域のこどもっとひろば(児童館)や、各区役所に併設されている「おやこふらっとひろば」を訪ねてみてください。ちょっとした心配ごとを相談できる「子育てチーフアドバイザー」や、保育士資格等を持つスタッフが話を聞いてくれるほか、必要に応じて必要な行政サービスにつないでくれます。お父さん、お母さんのホッとする時間も大切に、今だけの子育て時間を楽しんでくださいね。