2023年11月01日
ふたご、みつごの子育て
ふたご、みつごの子育て事情ってご存じですか?
「同級生や同じ学校に双子のきょうだいが通っていた」、「幽体離脱~が持ちネタの双子芸人は知っている」など、ご本人たちを知っていることはよくあるかもしれませんが、親御さんの子育て事情を耳にする機会ってあまりないと思います。そこで、今回はいわゆる「多胎児」の子育て事情と神戸市の多胎児支援についてお伝えしたいと思います。
出生数に占める多胎児の割合は、全国・神戸市ともに約2%で、神戸市では毎年125組前後の多胎児が生まれています。
エコー検査で妊娠がわかったとき、「赤ちゃん一人じゃないですよ」と告げられ、初めは喜びと驚きで興奮したご夫婦も、しばらくすると冷静になり、どんな準備をすればよいかたちまち不安になったというお声を聴きます。
妊娠中は赤ちゃんの人数分の体重が妊婦さんにのしかかり、単胎(一人)の妊婦さんよりも負担が大きくなります。そして、多胎の場合は、赤ちゃん一人一人が低体重のことも多く、出産はとてもハイリスクです。無事に出産された後でも、小さく生まれた場合はしばらく保育器に入っていることもあり、お母さんと一緒に退院できず、先に退院したお母さんが母乳を赤ちゃんのもとに届けたりすることもあります。このように、妊娠・出産の期間において多胎の妊産婦さんは、単胎の妊産婦さんが経験していない不安や負担があるのです。
ただし、一番大きな壁は生まれてからの子育てです。授乳、ゲップ出し、沐浴、おむつ交換、離乳食…すべて赤ちゃんの人数分のお世話が必要になります。一人の赤ちゃんを子育てする場合でも、産婦さん自身の食事やお風呂タイムが十分取れなかったり、授乳や夜泣きで睡眠不足に陥ったりするため、多胎児の子育ては想像を絶する世界であることは容易に推測できますよね。このように多胎児をもつ家族は、おじいちゃんおばあちゃん等の手を借りても、身体的・精神的・経済的にも大きな負担となっているのです。
そこで、神戸市では医療機関や助産所、ひょうご多胎ネットという当事者団体のみなさんのお力を借りながら、以下のような多胎児支援に取り組んでいます。
- 多胎妊婦さんの家庭(産後1年未満まで)に多胎児の子育て経験者が訪問して相談に乗る「ピアサポート事業」
- 多胎児を持つ親子の交流の場「多胎児子育て教室」の開催
コロナ禍で教室に参加できない場合はオンライン版の多胎児子育て教室、「KOBEふたご・みつごオンラインひろば」 - 産前産後の家事・育児をサポートする「多胎児家庭ホームヘルプサービス」
- 助産師が母と乳児を支援する「産後ケア事業」
また、双子用ベビーカーがバスに乗れないという課題に対して、神戸市交通局では二人乗りベビーカーでも市バスが利用できるよう、運用の最終調整段階に入っています。令和5年2月から利用できるようになるため、詳しくは神戸市交通局ホームページをご確認ください。
このように、神戸市でも様々な多胎児支援に取り組んではおりますが、多胎児の子育てはとても負担が大きいですから、もし、街中で困っている親御さんを見かけたら、「何かお手伝いしましょうか?」と一声かけていただけると嬉しいです。
<制度の詳細については、下記の市ホームページよりご確認ください>
※旧子育て応援サイト 2023年1月13日掲載分
丸山 佳子 先生
(保健師・こども家庭局家庭支援課担当課長)
2022年度より、神戸市こども家庭局母子保健担当課長として、妊婦健診・乳幼児健診をはじめとした、思春期、妊娠から出産、乳幼児の子育てなどに関する母子保健施策に携わる。妊娠期やお子さんの乳幼児期に利用できる行政サービスについて、コラムを執筆予定。