2024年01月12日
災害から赤ちゃんを守るために「ミルクの備え」はありますか?
2024年が始まりました。年明けから、能登半島では地震が続いています。映像で被災地の様子を見ると、29年前に起こった阪神淡路大震災での神戸の状況が思い出され、胸が痛みます。
私は震災当時、長田保健所(現在の長田区役所)に勤務していましたが、発災後、1週間を過ぎたころから「アレルギー用の粉ミルクが手にはいらない」「いつもと違うメーカーの粉ミルクだと飲まない」といった声が聞かれるようになりました。
このときの経験からも、神戸市では現在、アレルギー用と乳児用の粉ミルクを1種類ずつ備蓄しています。実際に災害が起これば、避難所を通じて、それぞれ必要な赤ちゃんのいる方へお渡しする予定です。しかし、災害用の備蓄には、限りがあります。
また「普段から母乳なので、ミルクの備えがなくても大丈夫」という方でも、災害時にはストレスなどで母乳がでにくくなったり、分泌量が不足したりして、粉ミルクが必要になることがあります。
そのような事態に備えて、この機会に、どの家庭でも赤ちゃんのために「ミルクの備え」を始めておきましょう。具体的に何を備蓄すればいいのか、次の項目を参考に確認してみましょう。
いつも飲んでいる粉ミルク
普段から、ちょっと多めに買い置きを
使い捨てタイプの哺乳瓶
普段のお出かけ時にも使って、ローリングストック感覚で
紙コップや使い捨てスプーン
コップに入れたミルクを直接またはスプーンで飲ませます(カップフィーディング)
飲料水
粉ミルク用には、国産の軟水を準備して。目安量は、1日1.5L×1週間分
カセットコンロとカセットボンベ
湯沸かし用に!粉ミルクの調乳は、一度沸騰させた70℃以上のお湯で
最近では「液体ミルク」も登場し、調乳なしでそのまま飲ませられるので、災害時には特に便利です。備えとして、粉ミルクの代わりに、液体ミルクにするのもよいでしょう。
ただし、災害時には赤ちゃんも疲れて、いつも以上に敏感になることが考えられます。そのため「普段から飲みなれているミルク」「特に、食物アレルギーの赤ちゃんは、いつも飲んでいるアレルギー用ミルク」を備えておくのが安心です。
また大人も、災害時には食欲がなくなってしまいがちに…。ママさんは、食べられなくなったり水分不足になったりすると、母乳分泌にも影響します。この機会に、パパママ用にも、普段食べ慣れていて好きなもの(レトルト・インスタント食品や飲み物等)をちょっと多めに買い置きして、赤ちゃんと自分の健康を守る備えをしておきましょう。
家庭での備蓄、赤ちゃんの防災、アレルギー疾患を持つ方への備えについて、もっと詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。
こうべ食フレ!(災害時に備えた家庭における備蓄) (外部リンク)
藤本 恵美子 先生
(管理栄養士・健康局健康企画課課長)
2015年度より、食育・栄養指導担当として、乳幼児から高齢者まで各ライフステージに応じた食育推進事業、施策の企画調整に携わる。「子どもの食の困りごと」「夏休みの子どもの食事」「離乳食の作り方講座」「赤ちゃんを守るための食の備え」について、コラムを執筆予定。