2024年01月26日
乳幼児をもつ家族の災害時の備えについて
元旦に石川県能登半島で地震・津波が発生し、広域にわたり甚大な被害が発生しています。
ただ今、私は災害派遣で能登半島に行っており、避難所での健康管理などに取り組んでいるところです。被災者の方々の不安などを少しでも解消することができたらと思い、活動を行っています。
2024年1月17日、阪神・淡路大震災から29年を迎えました。神戸も甚大な被害を受けました。当たり前だと思っていた日常生活は当たり前でないということを痛感しました。
ここ数年、風水害などの自然災害も各地で発生している状況であり、残念ながら災害はいつ起こるか想像がつきません。今一度、自分自身と家族のいのちを守るために、災害を「わがごと」としてとらえ、対策を進めてみませんか。防災対策には、絶対大丈夫というものはありませんが、その被害をできるだけ少なくするために必要な備えをすることが大切です。
「備え」といっても何をどうしたら良いかわからない、ということもあると思います。そのような場合は、以下を参考にしていただき、できることから始めていきませんか。
①危険なエリアと避難先のチェック
災害時には、自らの判断で避難の行動をとることが重要になります。お住まい周辺の危険箇所をハザードマップで確認し、避難先(緊急避難場所など)や避難ルートを事前に家族で決めて共有し、いざという時に安全な避難ができるよう、備えをしておきましょう。
②室内の安全対策
「家具は必ず倒れるもの」と考えて、家具類の転倒・落下の防止等の対策をしましょう。
③家庭内の備蓄
災害時に備えておく備蓄は、家族の人数分×3日分、できれば1週間分。飲料水は1人1日3ℓが目安です。食べながら備蓄の食品を定期的に消費し、食べた分だけ買い足すローリングストック法を活用しましょう。
④避難の際に必要な物品の準備
持ち出す品に優先順位をつけ、持てる量で、両手があくリュックサックに一人ひとつ準備します。リュックは、玄関や車など取り出しやすいところに置きましょう。
⑤子どものための避難用持ち出し袋の準備
おむつやおしりふき、粉(液体)ミルク、着替え、おもちゃなど、子どもの視点に立って準備をしておくことが重要です。母乳の場合も、慣れない避難生活で母乳が出にくくなる可能性もあるので、念のためミルクセットを用意しておくとよいでしょう。また、食物アレルギーがある場合には、アレルギー対応食や普段使っている薬なども準備しておきましょう。
まずは①~⑤について取り組みを進め、その後は季節や子どもの成長に合わせて、着替えやおむつのサイズなど、持ち物のチェックや避難方法の確認などを定期的に行い、日ごろから備えていきましょう。
小澤 恵 先生
(保健師・こども家庭局家庭支援課課長)
2023年度より、神戸市こども家庭局家庭支援課課長として、思春期、妊娠から出産、乳幼児の子育てなどに関する母子保健施策に携わる。妊娠期やお子さんの乳幼児期に利用できる行政サービスについて、コラムを執筆予定。