2024年05月10日
【子育てのヒント】こどもの自立を促すために
初めまして、今年度より専門家コラムを担当することになりました前川と申します。長い間小学校の教員をしてきました。
兄弟であっても一人一人の子どもの行動や性格は違いますので、子育てには常に悩みがあって当然です。そんな保護者の方々の悩み解消の一助になればと思い、コラムを書いていきます。
初回は、小学生が「自分のことは自分でできる」あるいは「自分でできることは自分でする」といった、「こどもの自立」を促すためのヒントをお伝えします。
小学校1年生で経験する「時間割を合わせる」ことを例にして、考えていきましょう。
「1時間目は何の授業?」
「国語!」
「じゃあ何がいるの?」
「国語の教科書とおけいこちょう!」
「私が見本でランドセルに入れるね」
「わかった」
「丁寧にランドセルに入れられたでしょう」
「2時間目は何の授業?」
「算数!」
「じゃあ何がいるの?」
「算数の教科書と算数帳!」
「ランドセルに自分で入れてごらん」
「わかった」
「よくできました!」
これの繰り返しになります。少しまどろっこしく感じられるかもしれませんが、最初が大事ですし、自分のことが自分でできるようになる第一歩は、保護者の方と『一緒に』やってみることです。
次に、だんだんできるようになれば、側で見守るようにしましょう。
さらに、一定の期間がたてば、「明日からは自分一人でできるかな?」「できたら見せに来てね!」と任せていきましょう。そして、できたら大いに褒めてあげます。時間割が正しくできているか、ときどきこっそり確かめることも大切ですね。
こうやって自分で時間割を合わせるように、少しずつ大人の関わりを減らしていきます。急がないこのような関わりが、一定期間後の本当の自立につながります。
キーワードの『一緒に』を振り返ると、昔から言われている名言と一致します。その名言は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」というものです。
人を育てる、自立を促すことは、手間と時間がかかるものです。しかし、その手間と時間も『一緒』に楽しむことができるといいですね。
前川 義弘 先生
(教員・こども家庭局こども青少年課課長)
小学校の校長として勤務した経験を活かし、2022年度からは、こども青少年課課長として、子どもの放課後の居場所づくり等に携わる。教員として勤務したのち、公認心理師の資格を取得し、子どもたちの気持ちに寄り添った指導を行う。神戸の小学校の特性や学童保育事情など、小学生の育ちに関するコラムを執筆予定。