2024年11月08日
【子育てのヒント】子どもへの関わり方のコツ
こんにちは。神戸市総合療育センターの疋田です。
前回までは子どもを叱る場面を中心にお話ししましたが、今回はまた別の角度から関わり方のコツをお話ししたいと思います。
〇安心づくり
あまり自信がないことに取り組むときなど、誰かに「それでいいよ」と言ってもらえると大人でも安心できますよね。親御さんから「何を褒めたらよいか分からない」と聞くこともありますが、子どもを褒めるときに、褒め言葉は必ずしも必要ありません。子どもが不安そうに振り返ったときににっこり笑う、あるいはOKサインを示す等でよいのです。
褒めることの大きな目的は、「それでいいよ」と伝えて子どもの安心づくりをすることです。大きな丸ではなく、小さな丸の積み重ねでよいのです。認められ、安心できた経験が子どもの自信となり、自信の積み重ねによって自分で考え実行する力が育っていきます。
〇大人も参加する
「早くお片付けしなさい」「もうゲーム止めて」と何度言ってもしない、やめない…まさに大人がイライラして強く叱ってしまいそうになる場面です。このような場面では「何回言った?」と子どもと根競べをするよりも、大人がその場まで行き、子どもと一緒に片付ける、ゲームに参加して一緒に終えるなど、大人も参加することがお互いイライラせず、結果的に目的もこなしやすくなるコツです。
子どもはまだ自分の感情や行動をコントロールする力が幼く、なかなか取り掛かるきっかけを見つけられないため、大人がそのきっかけを作ったり、お手本を示したりする方がスムーズにいきやすいものです。
〇優先順位を考える
例えば、子どもが自分で靴を履いたものの、左右が逆であった場合、「右と左が間違ってるよ」と履き直しをさせる、というのはよくありそうな場面です。しかし、この場面では、子どもの発達にとって優先すべきことが「左右を間違わないこと」なのか、「自分で靴を履くこと」なのかによって、関わり方は異なってきます。自分でやりたい気持ちが育ち始めた時期であれば、大人がすぐに直さずに「自分ですること」を優先すると、子どものやる気に水を差すことなく、自分でできたという達成経験や自信につながります。
2回にわたり子どもの叱り方や関わり方のコツについてお話ししましたが、発達がゆっくりしていたり、得意なことと苦手なことにでこぼこがあったりするお子さんの場合は、このような方法だけではうまくいかないこともあると思います。そのような場合はご家族だけで悩まずに、まずは園の先生や区の保健師などに相談してみてくださいね。
次回の最終回では、これまでの私の発達相談の経験を踏まえ、子育て中のお母さん、お父さんへのメッセージを送りたいと思います。
疋田 みわ 先生
(心理士・こども家庭局総合療育センター課長)
臨床心理士、公認心理師。神戸市では心理判定員を務める。2023年度より、神戸市総合療育センターの相談診療課長として、障害や発達の特性をもつ子どもの相談や療育指導に関することなど、子どもの発達相談支援施策に携わる。子どもの発達や子どもとの接し方などについてコラムを執筆予定。