2024年12月13日
【子育てのヒント】赤ちゃんのスクリーニング検査

日本では、すべての赤ちゃんが、生まれてから3~4日後に、スクリーニング検査を受けることが推奨されています。
スクリーニング検査とは、見た目には分かりにくい体の異常や疾病を早期に発見し、その後の精密検査や適切な治療につなげるための検査のことを言います。現在は、難聴(生まれつきの聞こえの問題)を発見するための新生児聴覚検査と、先天性代謝異常等(体の代謝・ホルモン分泌の異常)を発見するためのスクリーニング検査があります。いずれも稀な疾病ですが、早期に治療を開始することで、症状の重さや障害の程度を軽減できることが分かっています。
スクリーニング検査が陽性となった場合、その時点で赤ちゃんに疾病があることが確定するわけではありませんが、専門病院でより詳しい精密検査(確定診断検査)を受ける必要があります。例えば、新生児聴覚検査の検査が陽性となる頻度は、1000人のうち10人くらいです(陽性率1%)。その10人が精密検査を受け、難聴の診断に至る頻度は、おおよそ1人(有病率0.1%)です。
スクリーニング検査は、赤ちゃんへの負担が少なく、短時間で完了するため、多くの出産医療機関で広く実施できる特徴があります。一方で、精度はそれほど高くないという限界があります。そのため、専門病院での追加の精密検査を組み合わせることで、疾病の有無について診断を行います。
母子健康手帳には、スクリーニング検査結果の記録欄があります。生後の新生児訪問事業の家庭訪問や4か月児健診で、赤ちゃんの健康状態を把握するため、保健師等の市職員がスクリーニング検査の結果を確認させていただく場合がございます。ご協力よろしくお願いいたします。

三品 浩基 先生
(小児科医・こども家庭局部長)
小児科専門医、公衆衛生学修士。2016年度より、神戸市こども家庭局家庭支援課の小児科医として、乳幼児健診や小児慢性特定疾病に関することなど、医療の分野から子どもの保健施策に携わる。子どもの病気の予防や早期発見について、コラムを執筆予定。