2023年11月01日

プレコンセプションケア

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妊娠・出産

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 暑い日が続きますが、みなさん元気にお過ごしですか?お子さんと外出から帰った後は、たっぷり汗をかいて、どっぷり疲れが出て、親の方が先にぐっすり眠ってしまうということもあるのではないでしょうか。子育てはエネルギーの消耗も大きいので、大人も体力が必要ですよね。このような状況で、もうこれ以上子どもは増やさないと考えているご家庭や、いやいや大変でもさらに新たな家族を迎えたいと考えているご家庭もあるでしょう。

 今回は、今後のライフプランを考える上で、ぜひ知っていただきたい“プレコンセプションケア”を紹介したいと思います。

 プレコンセプションケア(Preconception care)とは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合う「妊娠前の健康管理」のことです。コンセプション(Conception)は受胎、つまりおなかの中に新しい命をさずかることをいいます。初めて聴く方も多いと思いますが、妊娠・出産に関する新常識として、これからは、誰でも当たり前に知っている言葉になっていくと考えています。

〇今すぐできるプレコンセプションってなんだと思いますか?
 特別なことではなく、適切な食事・運動・睡眠という基本的な生活習慣を実践することです。それに加えて、タバコを吸わない、アルコールを控えることなども大切です。
 また、男女を問わず、妊娠前の健康管理に留意して、妊娠・出産の可能性を高める知識を得ることがとても重要です。例えば、

  • 「女性のやせ」は、小さな赤ちゃん「低出生体重児」の出産につながるかもしれない
  • 「葉酸」は、お腹の中の赤ちゃんの正常な発育に大切な栄養素

などが挙げられます。


〇プレコンセプションケアを取り巻く声
―「妊娠し、子育てするようになって、改めて、バランスの取れた栄養や睡眠、運動などの生活習慣が、子どもの健全な成長や親自身の健康に大きく影響することを実感した」

 妊娠前からの生活習慣は、生まれてくる赤ちゃんの将来の健康にも影響することがあります。より健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちをより健康にするという考えは、プレコンセプションケアそのものなんです。


―「最近30歳以上で出産する人も多いからまだ大丈夫と思っていたけど、妊娠に適齢期があることを知らなかった」

 医学的に35歳以上は高齢出産。不妊治療の技術はどんどん進歩していますが、プレコンセプションケアを早いうちから実践して、将来的に不妊になるリスクを軽減させ、未来の赤ちゃんの健康を守っていくことがとても重要です。


―「不妊は女性だけの問題だと思っていた」
―「夫婦とも健康だから不妊は関係ないと思ったけど、最初の妊娠でそれぞれが妊娠しにくい身体だとわかったので、二人目は不妊治療をして少しでも早く授かりたい」

 不妊の約50%は男性にも原因があり、カップルの1/5は不妊の可能性があると言われています。妊活の成功は、男性の理解が必要です。


―「生理不順を医師に相談せず我慢してきたけど、不妊の原因になると後から知った」

 妊娠前から自身の健康状態やリスク因子を把握して、早めにケアを始めてもらうことが大切です。自らの体を知ることは、ライフプランを考える上で欠かせません。また、持病などによって妊娠が難しい人も、早めに専門医に相談することで妊娠の道を探ることができます。

 神戸市では、“プレコンセプションケア” 通称「プレコン」について、今後も市のホームページやママフレでも紹介していきますので、ぜひ将来について考える際の参考にしてください。

国立成育医療研究センター プレコンセプションケアセンター (外部リンク)

厚生労働省.健やか親子21.プレコンセプションケア (外部リンク)



※旧子育て応援サイト 2022年8月12日掲載分

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丸山 佳子 先生

(保健師・こども家庭局家庭支援課担当課長)

2022年度より、神戸市こども家庭局母子保健担当課長として、妊婦健診・乳幼児健診をはじめとした、思春期、妊娠から出産、乳幼児の子育てなどに関する母子保健施策に携わる。妊娠期やお子さんの乳幼児期に利用できる行政サービスについて、コラムを執筆予定。

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