2024年03月22日
数字では測れない親子の絆
3月になり、春めいた季節になりました。4月から新生活の方も増える時期ですね。新生活は楽しみも多いですが、同時に不安を抱く時期でもあります。
アメリカの新学期の始まりは8月なので、こちらでは春を感じるだけなのですが、日本にいる時の慌ただしい季節を懐かしく思いました。年度の終わりが違うために、アメリカでは一足先に小学校に通っている長女ですが、こちらでは中学生になるまで親の送迎が必要なので、登下校しながら話すことも増えました。長女の話す話題は毎日違いますが、最近は「友達が水筒がなくて困ってそうだったので、一緒にお茶を飲んだ」「友達が寂しそうだったから一緒に遊んだ」など相手を思いやる行動が増えてきた様に感じます。かつて幼稚園の年齢の頃は、「友達が泣いていた」など、行動に着目して話していった様子ですが、最近ではお友達の表情を見ながら、その子がどう思っているのか想像して行動した話をよく聞くようになりました。
最近の時代の進歩は著しく、AIによって出来ることが増えてきており2045年にはAIが人間の知能を超えると予測されています。でもAIにとって出来ない事、それは相手の状況を想像し、思いやることだと思います。思いやりがテクノロジーに勝るというのは、とても素晴らしい事だと思います。それゆえに長女の話を聞きながら、彼女の成長をとても嬉しく思いました。
また、このような親子で話す時間は一見、生産性のない時間のように思われますが、親子にとってはかけがえのない時間なのだと思います。結局、親子関係を育むことは数字では測れず、余白の時間が親子のつながりを強くするのではないかと感じます。
4月から新入学の子を持つ親御さん、特に保育園や幼稚園などへの入園を控えている親御さんは子どもと離れる時間が増えるので不安なことが沢山あると思いますが、心配せずに送り出してあげてください。親が思っている以上に子どもはよく見て行動し、成長しています。時には子どもからそんな様子を聞きながら、可能な時には量より質な親子時間がもてたら最高だと思います!私も貴重なこの時間を見落としてしまわないよう、大事に過ごせたらと思っています。
今年度も、こどもっとKOBEの専門家コラムをご愛読いただき、有難うございました。
井窪 薫 先生
(精神科医・4児の母)
精神保健指定医。6歳、3歳、2歳、1歳を子育て中。長女の子育て中に大学院に通い、医学博士、精神科専門医を習得。現在はアメリカで児童精神医学を勉強中。